なんだか嫌な予感がして、
病室に戻るとそこはまるで
戦場のようになっていた。

静かに眠る結乃のベッドの奥の
入り口から見えない場所に、凜と奏が
折り重なるようにして倒れている。

2人とも血塗れで、意識がない。

凜の手にはまだ中身が満タンの
コーラのペットボトルが握られていた。

「ほら、2人とも起きて!」

声をかけると、凜の方はハッと
目を覚ましてこちらを見た。

それからすぐに立ち上がると、
アタフタしながら病室を出ていく。

私は奏の手首に手をあてた。
脈はあるから、生きている。

どうやって病室から運ぼうかな。
どっちにしろこのままじゃ、マズい。

きょろきょろと辺りを見回して、
それからもう一度奏を見た。

奏の横にある、大きなスーツケース。
よし、こうなったら。

「大胆な作戦で行こう。」