「まあ結局そんな事をしても無駄だったけどな。未練たらたらでもう１０年もこんな事して、何やってんだかな」

「ねぇ・・」

「あん？」

「まだ、彼女の事好きなの？」

華月の言葉は俺が頭の中で、記憶の中で何度も繰り返していた言葉だった。何百回と繰り返してきたその言葉に結局答えは出ていない。

「・・わかんねえな。正直わかんねえんだ。もしかしたら俺はそれを知りたくて此処に来るのかもな」

彼女にタンポポを渡した日、俺は確かに彼女に恋をしていた。それは間違いないが、歳を追うごとに、日を追うごとに、俺の中の恋はぼやけていって、今ではその輪郭すら掴めなくなっている。

「・・じゃあ、私も諦めない！」

「は？何をだ？」

「太郎の事！」