俺は静かに頷いて肯定して見せた。

「俺が彼女について知ってるのは、綺麗だった事と雨の日には来ない事。本当かどうかわからない誕生日、あとはその笑顔だけ」

「そっか・・あの日から1度も会ってないの?」

「【タンポポ】読んだんだろ?」

「読んだよ。でも、あのラストだけは嘘だよね?」

華月は口調こそ疑問の形を取っていたが、その目は確信を持っていた。

「最期の展開が強引過ぎたし、あんなにもリアルに描かれてたのにラストだけ全然リアリティ無くなってた。それに・・太郎がここに居る」

「よく読んでいらっしゃる事で」

「茶化さないでよ」

「死んだ事にしたのは、きっと俺が忘れたかったからだろうな。叶わない恋はしんどいからなぁ・・」