執事の男はピンと背筋を伸ばしたまま、綺麗に腰から体を折ってうやうやしく俺に頭を下げた。

「山田様、確かにお預かり致しました」

その執事の様子に俺は安心して、その場を後にした。間違いなくタンポポは華月に手に渡るだろう。

俺はそのまま公園に向かった。

執事の手からタンポポを受け取った華月の目が、俺を探して彷徨った事を俺が知る事はなかった。