客も色や形は違えど、ドレスや礼服に身を包み上品な微笑みをたたえ談笑している。その中心に一際目立つドレスを着た少女を見つける。

最近見知ったその顔は、俺の知らない顔をしていた。

回数にして2回会っただけ。時間で言えば合わせても1時間にも満たないだろう。だから、俺が華月の事をどれだけ知っているのかと聞かれたら、知らないとしか答えられない。

だが、それでも思わず言葉が口からこぼれて行った。

「なんて顔してやがんだよ・・」

まるで精巧に作られた蝋人形のような笑顔。違和感を通り越して気持ち悪いとすら思った。

次々に挨拶をしに来る客に、機械仕掛けの人形の様に会釈と笑顔を繰り返す。

その姿を見ている筈の客達に戸惑いや訝しむ様子が無いのは、この『柿崎華月』が普通なのだと認識しているとゆう事。

つまり