「ご覧下さい!この見事な薔薇園!驚く事にこの薔薇園はたった1人の女性の為に作られたのです!」

女子アナは自分がその『女性』だったら。なんて事を想像しているのか、興奮気味に口を動かしていた。

「とある女性の誕生日にプレゼントするそうですが、私はこんな素敵なプレゼントを貰ったら何でもオーケーしてしまいそうです!」

画面右下のスタジオの様子が映し出された小さな長方形の中で、メインキャスターを務める中年の男性アナウンサーが苦笑いをこぼしていた。

こんな事がテレビで流れるのだから日本は平和なんだろう。

誰に薔薇園をプレゼントするのかは知らないが、上手くいく事を祈りながら俺はテレビの電源を切り、家を出ていつもの公園に向かった。