「ふ〜ん、雨だと来ないんだ・・」

「んなの当たり前だろ、濡れるだろうが」

「そ、わかった。じゃあまたね」

相変わらず何をしに来たのかとゆう謎を残したまま華月は去って行った。その姿が見えなくなってからノートを広げる。

『変わった少女は華月とゆう名前とまたねとゆう言葉を残して行った』

「そのままはマズイか・・」

『変わった少女は美華とゆう名前とまたねとゆう言葉を残して行った』

たった今書いたばかりの文章を何となく眺めてみた。10年前の時には無かったその一文は俺の心を微かに波立たせた。

「我ながらあの時は純情だったなぁ」

歳も名前も知らない彼女に18の俺は確かに恋をしていた。

『私達って宿り木みたいだね』

「宿り木の癖に居なくなってんじゃねえよ、お陰でこじらせまくってもうおっさんになっちまったじゃねえか・・」