振り向いて、お姫さま。



記憶を辿っていくと、ツインテールの子という条件に当てはまる子がひとりだけ浮かんだ。



「あー、あの子か」



一週間前、お昼休みに声をかけてきて......放課後に、香織ちゃんとの時間を邪魔し てきた子。

もちろんあの日は一緒になんて帰っていないし、あの後どうやって振り払ったのかも覚えていない。

それにしても、香織ちゃんの方が一億倍可愛いのに、何が心配なんだろう?


もしかして......。



「ヤキモチ、妬いてくれたの?」

「〜っ」



図星の反応が返ってきて、思わず口角が上がる。



「ふふっ、嬉しい」



今日は、嬉しいことばっかりだ。

香織ちゃんはどこまで、僕を幸せな気持ちにさせてくれるんだろう。

ヤキモチを妬いてくれるのはすごく嬉しいけど、そんなの必要ないよ。



「浮気なんて絶対ない。僕は香織ちゃんしか見えてないから」

「信用できない?」と聞くと、香織ちゃんは眉の端を下げて僕を見つめてきた。



「信じてますけど、不安になるので、あんまり他の女の子と仲良くしないでください」



だからもう、どこまで可愛いことを言えば気がすむの。



「......そんな可愛いお願いなら、いくらでも聞いてあげる」



香織ちゃんが望むなら、どんなことだって——。



「ね、もう一回聞くよ」



僕のものよりも随分と小さな手を、そっと握る。



「僕のお姫さまになってくれますか?」



香織ちゃんの表情が、ようやく明るいものに変わった。

ふわりと、天使のような笑みを浮かべて——



「はい」



——僕に、世界一の幸せをくれた。





【END】