「はい、さようなら」



どうぞ帰ってくださいとでも言わんばかりの声音に、苦笑いを浮かべた。

もう少しくらい、寂しがって欲しいのが本音。



「また来るね」



まあ、今日のところは、大人しく帰ろう。

そう考えて香織ちゃんに手を振った。


あー、今日も可愛かったなぁ......。

でも相変わらず、僕に好意は全くなさそうだ。


昔から、異性にはモテる方だった。


苦手なこともなかったし、容姿だって自覚する くらいには整っている。


別に女の子にモテたいと思ったことはなく、むしろ放っておいてほしいと思うことすらあったくらいだけど。

今まで恋愛とは無縁の生活を送って来たから、好きな子へのアプローチ方法なんて正直わからなかった。

わからないなりに、毎日真っ直ぐに、気持ちを伝えているつもりなんだけど......それが実を結ぶ気配もなく、内心焦っていた。


香織ちゃんは可愛いから、きっと同じクラスの男たちも狙っているだろう。