今はこうしてそばに居られるだけでも幸せだ。

って、なんか女々しいかな。


自分の思考に恥ずかしくなったけど、まぎれもない事実だった。



「北條先輩、もうそろそろHR始まりますよ?生徒会長が遅刻なんてしていいんですか?」



少しトゲのある言い方さえ、僕には可愛く聞こえてしまう。

恋は盲目って、きっとこのことだ。



「少しでも長く、香織ちゃんと同じ空気を吸っていたいから」

「それ、北條先輩が言うと気持ち悪いです」

「毒舌なところも可愛いね」



僕の言葉に、香織ちゃんは呆れたようにため息を吐いた。



「私、遅刻するような人は苦手ですよ」



え?そ、それは困る。



「……名残惜しいけど、そろそろ教室に戻るよ」



香織ちゃんの言うことなら、僕はきっとなんでも聞いてしまうだろう。