「ねぇ、黙っててくれないかな?」



優しい性格の方だと自負していた自分の口から出たトゲのある言葉に、自分自身が 一番驚いたけど、正直もっと汚い言葉を吐いてしまいたいくらい腹が立っていた。


誰に向かって言ってるの?



この子は、僕にとって世界で一番大切な......大好きな女の子なんだよ。




「鬱陶しいから、つきまとわないでくれない?」



女の子たちにそう言って、香織ちゃんのもとへ走った。


ポロポロと涙を流している香織ちゃんを、衝動のままに抱きしめる。



「きゃあー!!」



周りから悲鳴にも似た声が聞こえたけど、どうでもいい。

もう今は、香織ちゃん以外の全てがどうでもよかった。


久しぶりに感じた香織ちゃんの匂いに、全身が歓喜している。



「ほうじょ、せん、ぱ......」



僕の胸の中で名前を呼んでくる香織ちゃんが、愛しくてどうにかなりそうだった。