聞きたいことはいっぱいあった。
それでも、なにかを言おうと口を開いた香織ちゃ んの言葉を、僕はじっと待った。
「好きっ......」
確かに聞こえたその言葉。
僕がなによりも求めていたふた文字。
「嫌いにならないで......」
涙の滲んだ声で、一生懸命言葉を紡ぐ香織ちゃんが愛しくてたまらなかった。
状況は全くわからない。
僕に呆れていたはずの香織ちゃんがどうして「好き」という言葉を放ったのかも、そんなに切羽詰まった顔で泣いているのかも。
わからないけど、今の香織ちゃんの言葉はきっと本心だと......それだけはわかった。
「うわ、なにこれ公開告白？」
「イターい」
「放っておいて行きましょうよ」
僕の周りにいた子が、口々にそんな言葉をこぼした。
