——香織ちゃん、だ。



一週間ぶりに見る、香織ちゃんの姿。

香織ちゃんは帰る途中なのか、いつも仲良くしている女の子と一緒にこちらへ向かって歩いてきていた。

香織ちゃんが視界に入るだけで、心臓が痛いくらい騒ぎたっている。

久しぶりに見る香織ちゃんは相変わらず可愛くて、目が離せなくなる。


「香織ちゃん」と、名前を呼んでしまいそうになって、慌てて堪えた。


ダメだ。放っておいてって言われたんだから。

そう思った時、バチリと視線が交わった。

今すぐに手をとって、連れ去ってしまいたい衝動にかられたけれど、すぐに視線を逸らす。

こんなに近くにいるのに声もかけられないなんて......酷すぎるな。


手を伸ばせば届く距離まで近づいた。

ぐっと衝動を堪えて、香織ちゃんの隣を通り過ぎる。


今は、ダメだ。

香織ちゃんが許してくれるまで、我慢しないと——。


そう思った、時だった。