すぐに告白することを決意したのはいいものの、僕はどうやらやり方をまちがえたらしい。
翌日。香織ちゃんの教室へ足を運び、「話がある」と言って中庭まで付いてきてもらった。
そして......。
『君に運命を感じたんだ。僕の......お姫さまになってください』
あの時の香織ちゃんの顔が、今も忘れられない。
『…………む』
『む?』
『無理です……!』
ドン引きしたように顔を真っ青にして、逃げられた苦い思い出。
女の子はこういうのが好きだと思ったんだけど......どうやら言葉の選択を間違えたらしい。
人生初の告白は、あっけなく失敗に終わった。
でも、だからって簡単に諦められるような気持ちではなくて、今もこうして、教室まで通い詰めている。
高校二年、十六歳にして、生まれて初めての恋。
香織ちゃんは俺のこと、しつこい先輩くらいにしか思っていないだろうけど、僕にとってはたったひとりの運命の人。