なに、この展開……。


北條先輩を見つめる吉田さんの瞳は、完全に恋する乙女のもので。

それに、近くで見るとより一層、彼女の可愛さに気づく。

こんな可愛い子に頼まれたら、普通断らない。

私が男だったら、絶対に二つ返事で頷いてしまう。



「え?いや、でも......」



北條先輩も、困った様子で吉田さんを見ている。



「私、お昼休みの時もお伝えしましたけど......北條会長と、いろんなお話がしたいです。ダメ、ですか?」



トドメを刺すように、上目遣いで先輩を見つめる吉田さん。



「......っ」



......勝てっこない。


誰がどう見たって、私の目の前にいるふたりはお似合いで、まるで王子様とそれこそお姫さまみたい。

私なんて、完全に邪魔者だ。



「悪いんだけど、僕は——」

「一緒に帰ってあげたらどうですか?」



何か言いかけた北條先輩の声を遮って、そう言った。