「北條先輩、生徒会がないなら、まっすぐ家に帰って休んでください」
きっと昨日もあんな時間に帰って、ゆっくりできなかっただろうし、用がないなら、ゆっくり休んで欲しい。
そう思って返事をしたけど、先輩は一瞬悲しそうに眉をひそめた。
「僕は、せっかく身体があいたから香織ちゃんと——」
「北條会長!!」
北條先輩の声を遮るように響いた可愛らしい声。
声がした方を見ると、そこには顔を赤く染めた、吉田さんがいた。
「えっと、どうしたの?」
先輩がそう聞くと吉田さんは、とてとて......と効果音がなるような可愛い走り方で こっちにやってくる。
「愛崎さんと帰らないなら、私と帰りませんか?」
話が聞こえていたのか、大きな瞳で北條先輩を見つめる吉田さん。
胸の中に靄がかかるような、とにかく言い表せないような不安でいっぱいになった。

