「別に、匂いだけってわけじゃ......」

「え?匂い以外もあるの?」



嘘、ほんとに?聞き返した僕に、バツが悪そうな表情をする香織ちゃん。



「北條先輩なんて、欠点を探す方が難しいですよ」
「っ、え?」



......待って、待って待って。



「顔だって綺麗だし、頭も良いし生徒会長を任されるくらいの度量もあって、北條先 輩なら女の子なんて選びたい放題じゃないですか? きっとすごくかっこいいから、私の想像もつかないくらいモテてるんでしょうし......って、北條先輩?」



香織ちゃんが、ようやく俺の状態に気づいて話を止めた。



「ちょっと......ストップ」



もう、キャパオーバーだ。

やばい、もう幸せすぎて言葉も出ない。

香織ちゃん、僕のことそんなふうに思ってたんだ。

うわー、ダメだ、今絶対情けない顔してる。

口元を、隠すように手で押さえた。香織ちゃんはそんな僕を、きょとんと不思議そうに見つめている。