「へ、平気です。ひとりで帰れますよ」
「こんな夜道、ひとりで帰ったら危ないよ」
「......」
心配した僕の顔を、何やらじーっと見つめてきた香織ちゃん。
そ、そんな見つめられたら恥ずかしいな......じゃなくて、
「一番危ないのはあなたですって顔だね」
もしかして、僕の方が警戒されてる?
日頃の行い、か......はは。
「え、ちが......」
「大丈夫だよ。僕は好きな子が嫌がるようなことはしないから。ただ本当に心配なだ けなんだ」
そう言って、香織ちゃんの綺麗な瞳を見つめた。
「ね?一緒に帰ろう?」
笑顔でそう提案した僕に、長い沈黙の後、「はい」と返事をくれた香織ちゃん。
了承を得た僕は、満面の笑顔を返した。
ふたりきりで、夜道を歩く。
ふと、なんだか凄い状況だと改めて思った。
放課後を香織ちゃんと過ごした上に、一緒に帰るなんて、こうしていると、恋人みたいだな。

