まあ、香織ちゃんにとっては、僕も変なやつのひとりかもしれないけど。
「そ、そうだな......すまん」
素直に謝ってくれた先生に、きちんとフォローを入れた。
「わかってくれたならいいんです。先生も遅くまでお疲れ様です」
「いや、そんなふうに労ってくれるのお前くらいだよ……!もう帰っていいぞ!!愛崎も本当にありがとうな!」
楽観的というか、単純な先生だから、僕の言葉を聞いて上機嫌でプリントの山を抱え教室を出て行った。
再び、ふたりきりになった教室。
僕たちもそろそろ帰らないと。裏門が閉まってしまう。
「香織ちゃん、帰ろっか?」
香織ちゃんはこくりと頷いて帰る支度を始める。
鞄を持って、ふたりで教室を出た。
けれど、入口のところで急に香織ちゃんが足を止めた。
立ち止まった香織ちゃんの姿に、首を傾げる。
「どうしたの?」
顔を覗き込むと、何か言いたげな瞳と視線が交わる。

