楽しくて、幸せで——香織ちゃんに会えると思うだけで、僕の一日は鮮やかに色づく。


あー、香織ちゃんのことを考えたら、会いたくてたまらなくなってきた。

早く、明日が来ないかな......。


切実な思いを抱きながら、一年B組の前を通り過ぎようとした時だった。



夕日が射す茜色の教室に、僕の天使が見えたのは。



ピタリと、その場に立ち止まる。



「香織、ちゃん?」



廊下からそう声をかけると、何かしていた手を止めて、僕の方をみた香織ちゃん。



「......北條先輩?」


「何してるの?こんな時間に......」



教室に入り、香織ちゃんが座っている席へと向かった。

会いたいと思った矢先に会えたことに、やっぱり僕たちは運命の赤い糸で結ばれてるんだと感じたと同時に、心配になった。

もう夕日も沈んで暗くなるのに、こんな時間まで教室に残ってどうしたんだろう?