早く素直にならないと、北條先輩みたいなステキな人、誰かにとられちゃう……!

でも、今更好きだなんて、どんな顔して言えばいいんだろう。



「今日ずーっと浮かない顔してるわね」



帰る支度を済ませた様子の朱音が、ニヤニヤしながら私の前に来た。



「朱音があんなこと言うから......」

「あら?やっと告白する気になったの?」


「なってない!」

「ふふっ、ま、進展があったら教えてよね〜。あたしはデートに行ってきます」



楽しそうに、「おほほっ」と笑っている朱音。

ああ、他校の彼氏のことかな。



「うん、行ってらっしゃい。楽しんでね!」


「ふふっ、はーい!」



大きく手を振って、教室を出て行こうとした朱音に手を振り返した時だった。



「お、神田!何帰ろうとしてるんだ、お前日直だから今日プリント整理手伝えって言っただろ」



担任の声が、教室に響いたのは。