振り向いて、お姫さま。




告白を断ったのは、決して気持ち悪いと思ったからではない。

い、いや、確かにちょっと怖かったけど......。

嫌だったわけでもないし、北條先輩が好きな気持ちが薄れたわけでもないんだ。


ただ、先輩は私との出会い方が衝撃的だったから、好きだと錯覚してしまっただけだと思う。

上から降ってくるなんて、確かに少女漫画くらいでしかない出会い方だと思うし、それに夢に出てきたとか、よくわからないことも言ってた。


すぐに夢から覚めて、我に返る。

私を好きだと言っているのも、一時の気の迷いだとわかってしまうだろう。

先輩の目が覚めてしまうのが怖くて——好きな人からの告白なのに、喜べない。



『もー、あたしは心配して言ってるのに。好きなら駆け引きなんてやめて、素直に受け入れちゃえばいいじゃない』



「はぁ......」



朝朱音から言われた言葉は、放課後になっても私の頭の中から離れてはくれなかった。

ぐるぐると何度もリピートされ、その度に私の胸をグサリと攻撃してくる。

朱音の言う通りだ。

雲の上の存在だと思っていた北條先輩が少しでも興味を持ってくれたんだから、どんな理由であれ喜ぶべきだよね。