「......やめて朱音」

「照れちゃって〜、もうっ!」



冷やかしてくるのは、親友の朱音。

ノリが良くて面白いクラスの人気者で、私とは真逆のタイプ。

なぜか中学入学当初に気に入られて、それから高校一年生になった今もずっと一緒にいる。



「照れてない!」

「素直じゃないわね〜、北條先輩のこと、好きなくせに」

「ちょっ......うるさいな!!」



ニタニタと意味深な笑みをうかべる朱音の口を押さえ、黙らせる。

周りに人がいるんだし、あんまり大きな声で言わないでほしい。

たとえそれが〝本当のこと〞だとしても——。



「ほ、ほめんほめん!はなひて!」

「......」



ギブアップのポーズをとる朱音から、そっと手を離す。