全て計算し尽くして作られたような、寸分の狂いもない美しい容姿。

入学以来一度も首席から落ちたことのないという、我が校創設以来の頭脳。

まるで王子様みたいに優しくて誠実な人柄。

初めて彼の噂を耳にした時には、そんな完璧な人がこの世に実在するのかと驚いたのを覚えている。


きっと、私とは住む世界が違う人。

この先言葉を交わすこともない。


そう、一ヶ月前までは思っていた。

あの——意味のわからない、告白をされた日までは。



『君に運命を感じたんだ。僕の......お姫さまになってください』



本当に、あの瞬間は目が点になった。

お姫様になってくれなんて、生まれて初めて言われたから。

ていうより、こんなセリフ言われたことがある人の方が珍しいだろう。