いやいや、ちょっと待ってよ!

本当に?
あの、素晴らしい俺様っぷりで、女の子には到底困っていないであろう杉浦佑太が私を好きなの?


……そんなの嘘だよ。
ない、ないない!有り得っこない。

どうせまた、私のことをからかって遊んでるんだ。

授業中の暇つぶしに、私の反応を見て楽しんでるってところだろう。


それで、もし私が『私も杉浦くんが好き』なんて言った日には、いつもみたいに口角を上げてバカにしたように笑って、私には到底思いつかないような意地悪を言われるに決まってる。


そう思ったら、途端に胸がドキドキして、ギューっと締め付けられた。

変に苦しくて、息が上手にできない。
───なんで私、泣きそうになってるんだろう。


そんな私から目を逸らすことなく見つめ続ける杉浦くん。

授業中に、声を出す勇気はないし、口パクじゃ伝わらないかも……、そう思った私は、またしても教科書を引き寄せる。

《私は杉浦くんなんかキライだ(´-ω-`)》


これでいい。
これで『本気にすんなよ』って杉浦くんに意地悪を言われることもないし、

私が杉浦くんに好きだと言われて、ドキドキしてるってこともバレなくて済む。


ドキドキしてるのだって、"ときめき"とは違う。


いつも意地悪な杉浦くんが、突然あんな事を言い出すからちょっとびっくりした……

ただそれだけのことだもん。