バレないように盗み見ていたつもりだったのに、まさかバレていたなんて……。

恥ずかしすぎて顔から湯気が出そうだ。

だけど、そんなの悟られたくない私は、右手に持っているシャーペンをギュッと握りしめて、今度は自分の机へと教科書を引っ張る。

そして……、


《教科書を見てただけです~!》

それだけ書き込んで、再び教科書を元の位置に戻した。


強気に出たのは良いものの、杉浦くんを見ていたのは事実で

私の書いた文字を確認した杉浦くんが、再び教科書に何やら書き込み始めたのを目で追いながら、今度は何を言われるのかと内心ヒヤヒヤしている。


再びサッと、戻ってきた教科書。

ふぅ、と小さく息を吐いて……、怖いもの見たさで教科書を自分の机へと引っ張る。


「っ……!」

《なーんだ 俺のこと、好きなのかと思った》


予想もしていなかった文字に、呼吸の仕方を忘れると言うとんでもないハプニングに見舞われながらも

勢いよく杉浦くんへと視線を向ければ、

バチッ──と視線が絡み合う。


ビックリして、慌てて目を逸らしたのはいいけれど、これじゃあまるで「好き」だって言ってるみたいだ。


───バクバク、とうるさいくらいに鳴り響く自分の心臓の音を聞きながら、再び教科書に書き込む。