───瞳を見て、深呼吸する。

ドキドキさせられっぱなしじゃ悔しいから、杉浦くんも私にドキドキしてくれたらいいな。

なんて……そんな密かな願いと共に言葉を紡ぐ。


「私も、杉浦くんが好き。だいす」


───グイッ


"だいすき"


言い終わらないうちに私の体は、温かい杉浦くんの腕の中にすっぽりと抱きすくめられていて……

───ドキドキ、と私の心臓と同じくらいうるさいのは、まぎれもない杉浦くんの心臓だ。


「言うのが遅いっつーの」


耳元で聞こえる、独り言のように呟いた杉浦くん声に、体中がジンジンと熱を持っていく。

だって……。

てっきり片想いだとばかり思ってたんだもん。
この恋が実る日なんて

……永遠に来ないとばかり思っていた。


「春奈」

「ん?」

「……付き合う?」

「そういう大事なことは疑問形禁止」


少し不貞腐れたように呟けば「春奈のくせに生意気だ」と軽く頭を小突かれた。

私のくせにって、何それかなり失礼じゃない?

───だけど、杉浦くんとこうして笑い合える今が、こんなにも幸せだから

今回だけは大目に見てあげることにしよう。