わたしのいじわる王子さま

確か、杉浦くんは帰宅部で彩帆ちゃんは書道部だったかな。

こんな時間に帰宅部の杉浦くんが残ってるってことは、彩帆ちゃんと少し話してたのかな……。


あぁ、早速ラブラブっぷりを見せつけられてしまった。


彩帆ちゃんが去っていく足音が聞こえる。
同時に、私も上履きを下駄箱へと戻して歩き始めた。


本当は『杉浦くん、バイバイ』って挨拶くらいしたいのに、私ってば本当に勇気がない。

このままじゃ感じ悪いかな?
『彩帆ちゃんと付き合ったんだね、おめでとう』って、嫌味なく言えたらどれだけいいだろう。


だけど、今の私には到底無理だ。

やっぱり誰かのものになってしまっても、好きな人を好きな気持ちは変わらないんだなって、改めて思い知るだけだった。


───また涙で視界が霞んでいく。


バカ、春奈。泣くな。頑張りもしないで、泣く権利なんてお前にはないんだから。


「っ、う……うぅ……」


そうは思ってみても……生徒玄関を出てしばらく歩いた頃、堪えきれずに嗚咽混じりの涙が次々と溢れてくる。

頭では分かっていたつもりだったのに、好きな人が自分を好きじゃないってことが、


どれだけツライ事なのかを改めて痛感している。


私にだけ意地悪な杉浦くんが好き。


笑ってくれないけど、好き。

優しくないけど、好き。