わたしのいじわる王子さま

ずっとずっと、自分に自信がなくて怖かった。
私なんかが杉浦くんを好きなんて、知られたらきっと笑われるんじゃないかって思ってた。


だから、弱い自分を隠すように、杉浦くんへの気持ちも隠してきた。


どうか、どうかバレませんように……って。


だけど。


杉浦くんにとっては、冗談のつもりだったとしても、伝えた後で意地悪を言われたとしても……。

こんなに後悔するくらいなら、こんなに苦しい気持ちになるくらいなら、あの時に伝えてしまえば良かった。



本当は最初から分かっていた。

杉浦くんといると胸がドキドキするのも、

杉浦くんが他の子と仲良くしていると胸がギューッて苦しくなる理由も。


他の誰でもない、私自身が1番よく知っている。


「……やだよ」


杉浦くんが好き。
他の子のものに、ならないで。

頬を伝う涙は止まらない。


いっそのこと、杉浦くんを好きな気持ちも涙と一緒に全部流れてしまえばいいのに。


───バチッ


不意に彩帆ちゃんと視線がぶつかった気がして、その場を動けずにいた私は慌てて涙を拭った。

そんな私に、彩帆ちゃんは驚いたように目を見開く。


必死に平常心を装うけれど、心の中はぐしゃぐしゃで、本当は今すぐへたり混んで泣いてしまいたい。