わたしのいじわる王子さま

……まぁ、残念ながら私はどれにも当てはまらない本当のヒマ人だし、それを知った上で私に頼んで来た日菜子は確信犯以外の何者でもないのだけれど。


にしても日菜子ってば、いつの間に相原くんから勉強を教わるくらい仲良くなったんだろう。

そう言えばこの間も、体育の授業の時に下の名前で呼ばれてたっけ。

いいなぁ、私も杉浦くんと……って、なんでここでまた杉浦くんが出て来るの。


私が杉浦くんの事をこんなにも気にしているのはきっと……。


必死になってまた言い訳を探そうと頑張る私は、本当はとっくに気付いていたこの気持ちをもう、誤魔化す方法すら分からなくなってしまったらしい。


どんなに意地悪をされたって、私にはちっとも笑いかけてくれなくたって、もうこのまま2度と話すことが出来なくたって……。


私、杉浦くんが好きだ───。



「じゃあ春奈、ごめん!あとはよろしくね」


「あとでアイス奢るから!」そんな調子のいい言葉を残して、ルンルンと教室を出て行く日菜子の後ろ姿を目で追いながら、フッと小さく笑みが零れた。


廊下で待っていたらしい相原くんに、笑いかける日菜子は可愛い。相変わらずイケメンオーラ全開な相原くんと、凄いお似合いだ。


あんなに幸せそうに笑う日菜子を見たら、掃除当番くらい、いくらでも代わってあげたくなってしまうから不思議。


あぁ、自分がいい子すぎて泣けてくる。