「杉、」

「杉浦~!お前に用事らしいぞ!」

「あ?……おー、今行く」

私の言葉を遮るように、クラスメイトが杉浦くんを呼んだ。

勇気振り絞って声をかければこれだもん。ほんと空回りばかりだ。


何やってんの、私。
ふと、教室の外に視線を向けて杉浦くんを訪ねてきた人を見れば、ボブがとっても似合う色白美人で、その瞬間、嫌でも察してしまう。


あれは、絶対告白だ。

モテすぎなんだよ、杉浦くんは。


学年問わず、何なら他校の女子からも人気があって、杉浦くんが告白されることなんて日常茶飯事と言っても過言ではない。


あんな美人に告白されたら、私でも付き合っちゃう勢いだよ。
杉浦くんもOKしちゃうのかな?

やだな~。


………ん、何?やだな~って。

今の私の気持ち?いやいや、なんで私がそんなこと思わなくちゃいけないわけ!


相手はあの意地悪の塊みたいな杉浦くんだよ?ないない、有り得ないって。

頭ではそう思うのに。


「……いいなぁ」


教室の外で、杉浦くんを見ながら嬉しそうに目を細めて笑う女の子を見て、ポロリと自分のから零れた言葉に苦笑する。


当たり前みたいに杉浦くんが笑ってくれて、無条件に優しくしてもらえる。

そんな、私以外の女の子たちのことが羨ましくて仕方ないのはどうしてなんだろう。