どこかで夏が、笑っていた




「……時間を、ください……」



顔を寄せてくる彼女に、後ずさりをする。



彼女は満足気に笑い、くるりと方向転換をして背をみせてきた。



「ラムネ飲もうよ!ほら、いつもあんたが行ってるそこの駄菓子屋で」



その耳が赤いのは、きっと、夏の暑さのせい。



俺の心臓がうるさいのも、きっと、夏の暑さのせい。



すぐそばの、俺の行きつけの駄菓子屋に走り、彼女が買ってきてくれたのは……あの日と同じラムネ。



ビー玉の栓を沈めて、飲める状態にする……と。



シュワッ!



心地よい音が響いた。



大きく口に含み、飲む。飲む。



……この前よりも、炭酸が。苦味が。甘みが。



――刺激が、だいぶ強い。



くらくらとするような暑さのなかで、くらくらになりそうな恋を知った。



END.