「げーんっ」



木陰に、体育座りを片足だけ崩したような体勢の男子が、ひとり。



茶髪。夏の陽射しをあびると、ちょっとだけ赤っぽい?



とにかく、私には……ひとめみれば、わかってしまう。



「おー、すみれ。おはよ」



毎日10時、待ち合わせ。この木の向かいにある、駄菓子屋で、4人、遊ぶ。



弦(げん)は、いつも9時半にはここにいて。だいすきなラムネを飲んでいる。



いつも、私も9時半に来て。『弦』と呼ばれてふりかえる、彼の……ふりかえるまでの横顔を、みつめていた。



それから、弦が気づいて『ストーカーごっこ』と笑って誤魔化すか、タイミングを見計らって私が呼ぶかして、2人で30分を過ごす。



次第に、千穂と蒼士(そうし)も来て、4人になる。