蒼士の大きなてのひらが、私の肩に触れた。それだけなのに。



……嘘だ、と思った。



「……あつい……」



夏の暑さに、ねらわれてしまったのだと思う。



顔から火が出そう。



「蒼士、あの……」



「返事、待ってないから」



それを言いたくて、私を振り向かせたのだろう。そのために、肩を叩いたのだろう。



わかっている。わかっている、けれど。



男の子だと実感する。低い、声。本気だとわかって、余計にあつい。



ドキドキが、鳴り止まない。心臓、うるさい。



「う、ウン……」



カタコトになった私。笑う蒼士。