口元をシーツで覆ったまま、小さな声でつぶやいたのに、夏向はそれを聞き逃さなかった。 「……嫌いだよ、冬花なんて」 再び、あっけなく吐かれた嫌いという言葉。 「嫌いなら、なんで優しくするの……っ」 この問いかけに夏向は何も答えてくれなかった。