「っ、ご、ごめんなさ……いっ」



そんなつもりはなかった、と言いかけて踏みとどまる。

冷静に考えて、そんなつもりはめちゃめちゃあった。



ファーストキス、これは私にとってはじめての……。

相手は朝陽くん、これ以上ない相手、だけどシチュエーションは……！




あわあわする私、朝陽くんはまだ氷のように固まっている。

これは、もう……やらかしたに違いない。





「あ、あのう……つかぬことをお伺いしますが、朝陽くんはこれが、はじめての……、ですか」




キス、とその2文字が今更恥ずかしくてたまらない。

もっと恥ずかしいことをしでかしておきながら、なんだけどね……！



こくり、と頷くのが見えた。

あああ。


う、奪ってしまった……！
朝陽くんの大切な、ファーストキッス……！



がくん、と項垂れる。

朝陽くんはやっとのことで正気を取り戻したようで、私の目を真っ直ぐ見つめている。



その瞳がへんに熱っぽいのは気のせい……？
それとも……。


怒ってる！？