だ、だって距離が近かったから。

ちょっと身を乗り出したら届きそうだったから。



回らない頭、のはずなのに言い訳がぐるぐるぐるぐる、あたまのなかを物凄いスピードで駆け巡っていく。



でも、結局言い訳は言い訳にすぎなくて。
理由なんてないよ。



ふれたい、って思っちゃった、それだけだ。



私のほうから勝手に……というかふいうち、というか半ば強引に、重ね合わせた唇。


体温がじわり、つたわってきた感触で、はっと我に返った。




「っ!?!?」




な、な、な。
なんてことを。


ばっと体を離して息をのむ。


朝陽くんの顔色をおそるおそるうかがえば、目をばっちり見開いたままカチンコチンに固まっていた。



私のせいだ。
わ、私……なんってことを!!!



恥ずかしさと申し訳なさと、それからそれから……ええと、とにかく色んな感情がごっちゃまぜになって、パニック。

大混乱を起こした私は、とりあえず逃げた。




ずささささっ、と後ずさり、教室の片隅にうずくまる。