「ど、どうしたの、こもりん」

「それはこっちのセリフなんだけど。この、鈍感め」



ええっ、なんで急に鈍感呼ばわり?


心当たりもぜんぜんなくて、ただただ戸惑っていると、こもりんは盛大にため息をついた。




「じゃあ、たとえばの話だけどさー」

「うん?」

「朝陽に告白されたらどうするの?」

「っ、ごほっ」



思わず咽せてしまう。

待って、たとえばの話だとしても、なんでそうなるの?




「ありえないから……!」

「それが、ありえるから言ってるんだってば」




こもりんの言葉に、思わず想像してしまう。
篠宮くんが、私に、コクハク────。




「わあわあわあ!!!」




想像だけで、この破壊力。

頬を真っ赤に染めて騒ぎ立てる私に、こもりんはなぜか目を見開いている。

ええ、何その反応。




「……もしかして、光莉って、朝陽のことが好きなの?」




至極まじめな顔で首を傾げたこもりん。



あれ……。
そっか、そうだ、こもりんにも、誰にも話していなかった。



こくりと頷いた私に「まじで!?」と心底驚いている。

そこからはじまったのは怒涛の質問攻め。



……そうだった、最初は。



ひそかに篠宮くんを眺めているだけでじゅうぶんで、ただただ遠い憧れの人だった。


あの頃から、私にとってかけがえのない存在だったけれど、今ほどもっと特別になるなんて、思いもしなかった。