「試合に勝ったら、話があるって言われてるんでしょ〜?」

「っえ、なんで知ってるの……!?」




純粋に驚いた。
たしかに、そう、篠宮くんは、応援に誘ってくれたあとで言っていた。




『それとさ、試合に勝ったら、瑞沢に聞いてほしいことがあるんだ』


聞いてほしいこと……ってなんだろう。

不思議に思いつつ、頷いたの。



だけどそれは篠宮くんと私しか知らない話のはずだ。

だってあのとき、ふたりきりだったんだから……!




「まーね、私、マネージャーだし」

「それ関係ある!?」

「部員のことなら何でもお見通しなんだから。それに、朝陽はほんっとーにわかりやすいからねー」



こもりんは篠宮くんのことを思い浮かべたのか、呆れたような目をしている。

かと思えば、またにやにやと口角をあげて、私を探るような目でじっと見つめて。



「朝陽が光莉に聞いてほしいこと、ってなんだろうねえ」



そんなことを言うから、ちょっと真剣に考えてしまう。




「んん、なんだろう……。冬休みだから、課題の相談とか? いや篠宮くんに限ってそんなわけないかー」





やっぱり、直接聞くまで何を言われるかなんてわかんないや。想像もつかない。


なあんて考えるのを諦めると、こもりんが信じられない、とでも言いたげな目でこちらを見てくる。


死んだ魚のような目をしている。