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少しの間歩いて、たどりついた先は緑地公園だ。
じゅうぶんに広くて、人もまばらで、ここなら最適だと思ったから。
現役の頃のお兄ちゃんがよく自主練習に使っていた場所なんだよ。
「光莉、ボールちょうだい」
お兄ちゃんに向けて、抱えていたサッカーボールを投げよこすと、華麗なリフティングで捕まえてくれる。
その足さばき、全然衰えてないな。
「よし、朝陽くん。先にそこの鉄棒の下にボールをくぐらせた方が勝ちな」
「……えっ?」
「光莉に頼まれたんだよ、朝陽くんとサッカーしてくれって……っつーわけで、手加減は一切ナシ、ね」
言い切った瞬間、お兄ちゃんが器用にドリブルで攻め込んでいく。
現役のときほど、とはさすがにいかないかもしれないけれど、それでもかつてプロになる才能があると噂されただけの実力の片鱗がみえる。
呆然とそれを見つめていた篠宮くん。
数秒後、スイッチが入ったように篠宮くんの足も動き始めた。
「……っ」
篠宮くんの表情にくっきりと浮かぶのは動揺とそれから────恐れ、だろうか。
そう、篠宮くんが中学一年生のときに練習試合で当たって、怪我をさせてしまったというその相手は、瑞沢瑛斗────私のお兄ちゃん、だったのだ。
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少しの間歩いて、たどりついた先は緑地公園だ。
じゅうぶんに広くて、人もまばらで、ここなら最適だと思ったから。
現役の頃のお兄ちゃんがよく自主練習に使っていた場所なんだよ。
「光莉、ボールちょうだい」
お兄ちゃんに向けて、抱えていたサッカーボールを投げよこすと、華麗なリフティングで捕まえてくれる。
その足さばき、全然衰えてないな。
「よし、朝陽くん。先にそこの鉄棒の下にボールをくぐらせた方が勝ちな」
「……えっ?」
「光莉に頼まれたんだよ、朝陽くんとサッカーしてくれって……っつーわけで、手加減は一切ナシ、ね」
言い切った瞬間、お兄ちゃんが器用にドリブルで攻め込んでいく。
現役のときほど、とはさすがにいかないかもしれないけれど、それでもかつてプロになる才能があると噂されただけの実力の片鱗がみえる。
呆然とそれを見つめていた篠宮くん。
数秒後、スイッチが入ったように篠宮くんの足も動き始めた。
「……っ」
篠宮くんの表情にくっきりと浮かぶのは動揺とそれから────恐れ、だろうか。
そう、篠宮くんが中学一年生のときに練習試合で当たって、怪我をさせてしまったというその相手は、瑞沢瑛斗────私のお兄ちゃん、だったのだ。



