スパークリング・ハニー



「ほんと?」

「うん。すげー綺麗に入っててびっくりした」

「ふふ。自分でもびっくりしたもんね」



喋りながらも、篠宮くんは慣れた手つきで痛めた足に湿布を貼ってくれる。


腫れてはいないから、おそらく折れてはいないと思う。

単にひねったか、悪くても捻挫かな。

いちおうあとでお医者さんに見てもらわないと。



「はい、とりあえず終わり」

「ありがとうっ!」

「絶対に安静にしててよ」

「うん、……って」



篠宮くんによる応急処置が終わって。

安静にするように、という言葉に頷きつつ、顔を上げると。




「篠宮くん……、どうしたの」



ひどく青ざめた篠宮くんの表情に息をのむ。
顔色がすごく悪い。




「……いや」




気まずそうに目を逸らした篠宮くん、その視線は私の足の怪我に注がれている。



怪我をしたのは私なのに、どうして篠宮くんの方がそんな顔をしているの。




「……痛い?」



そんなわけないのに、つい聞いてしまうくらいには。




「……っ」



私の言葉に篠宮くんは、はっとする。
そして、何かを堪えるように目を閉じた。


やっぱり、痛い、って聞こえるの。
何も聞こえないのに、たしかに目の前の篠宮くんの表情は悲鳴をあげていた。