スパークリング・ハニー



さっきもそう、って篠宮くんが小さく呟いた。

“さっき” って、それはグラウンドでのことだろうか。



「たしかに、痛くないっていうのは嘘かもしれないけど……」

「だったら」

「でもね、でも! 大丈夫って言ったら、大丈夫だって思えたりするの。これは、ほんとうだよ! 我慢、とかじゃなくておまじない、みたいな感じかな」

「……そっか」

「うん、だからね、大丈夫なの」

「……うん、瑞沢は、強いな」



え、と思わず息を呑んだ。
篠宮くんの声のトーンがちょっと変だったから。


どういうこと、と聞き返す間もなく、篠宮くんがぺたりと優しい手つきでおでこの傷の上に大きな絆創膏を貼ってくれる。



ううこれ、絶対目立つだろうなあ。
しばらくは剥がせないだろうし、恥ずかしいことこの上ない。



「なんだか、格好悪いところを見せちゃったね」



えへへ、と照れ笑いを浮かべると。



「そんなことないだろ」

「思いっきりすっ転んだのに?」



軽口のつもりで冗談めかして言ったのだけれど、篠宮くんがそれに乗っかってくることはなかった。

やっぱり、少し、変かもしれない。




「ちゃんと見てたよ、シュート決めてたとこ」