スパークリング・ハニー




私を背負った篠宮くん。

そりゃあ、篠宮くんに比べると幾分かは小柄な私だけど、決して軽いとはいえない体重だ。


むしろ、普通に重いはず。




なのに、篠宮くんの足取りに危ういところはなく、鍛えぬかれた体幹をこんなところで実感する。



広い背中は、体温も相まってなんだか落ち着くの。そのため、終始安心して体を預けることができた。


もちろん申し訳ないな、とは思いつつ。




「……染みる?」

「っ、う、大丈夫だよ……!」




救護テントに辿りつくと、そこでスタンバイしているはずの保健医の先生も、保健委員のひとも見当たらない。



どうやら、たまたま席を外しているみたいだった。


……ということで、篠宮くんが私の手当てをしてくれることに。




まずは、擦りむいたおでこの消毒から。


やっぱり、しっかり流血していたようで、消毒液でひたひたのコットンを押し当てられると、猛烈に痛い。



ぎゅっと、瞼を閉じて堪えながら「大丈夫だよ」と口にすると、篠宮くんは難しげな表情を浮かべて。




「なんでそんな我慢するの」

「我慢……?」

「痛いなら痛いって言っていいのに」