沈んだ空気に堪えきれなくなって、へらりと笑う。
「私は大丈夫だよ!」
じわじわと体を侵食してくる痛みをこらえつつ、明るい声をあげた。
「どう見ても大丈夫じゃないでしょ」
「ほんとだもん!平気だよ……!」
なんとか信じてもらおうと、地面から体を起こして。
勢いよくその場に立ち上がってみせる、と。
「〜〜っ、痛……っ!」
「っ、瑞沢!」
瞬間、ズキンと足首に走った鋭い痛み。
体を支えきれずに崩れる足。
後ろにがくん、と傾いた私を間一髪のところで支えたのは。
「し、のみやくん……」
目を見開く。
まさか、応援席のところから駆けつけてきてくれた……?
呆然とした隙に、篠宮くんがひょいと背中に私を担ぎあげた。
「救護テント、行くよ」
「え……っ、いや」
「危ないからちゃんと掴まってて」
戸惑う私に、有無を言わせない様子。
篠宮くんにしては珍しく咎めるような声色で、そうされると、従うよりほかなかった。
観念してそっと篠宮くんの首に腕を回す。
それを確かめてから、篠宮くんはゆっくりと歩き始めた。
クラスのみんなの心配そうな瞳が追いかけてくるから、曖昧に微笑んでおく。



