「あーっ!」
はじめは綺麗にまっすぐ飛んだ紙ヒコーキは、途中でなにが起こったのか、ぐわんと急カーブして、たまたま開いていた窓から外へ出ていってしまう。
身を乗り出して確認すると、紙ヒコーキはまっすぐサッカー部の休憩場の方へ飛んで行った。
「どうしよう……!」
あちゃー、と頭を抱える。
これがただの紙ヒコーキならまだよかった。
でも、ちがうの。紙ヒコーキの紙の正体は今日の英語の時間に行われた小テスト。
だめだめってわけではないけれど、それでも人に見られるのはちょっと恥ずかしい点数なの。名前の欄にしっかり「瑞沢光莉」って書いてあるからバレバレだし。
うう、どうしようかな。
少し考えたのち。
「よしっ」
これは、さっとグラウンドにお邪魔して、しゅっと回収してくるしかない。他の誰かに見つかってしまう前に……!
そうと決まれば、と教室を飛び出す。
小走りで駆け出す先はもちろんグラウンドだ。
迷うことなく、サッカー部の休憩場に到着して辺りを見回すと。
「あった……!」
意外とすぐに見つかった。
ちょうどフェンスのところ、私が投げたあの紙ヒコーキが突き刺さっている。よかった、無事回収。



