スパークリング・ハニー

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単純も単純。


昨日から今日の朝にかけてまで、そう、ほんとうについ先ほどまで、短くなった前髪のことを憂えていたのに。

篠宮くんの言葉で完全復活。
見事なまでに気にならなくなった。



「あれ? もう前髪気にしてないじゃん」



あのあとすぐ、目ざとくこもりんに指摘されて。


「うん!もういいの!」



と答えた私に、こもりんはびっくりしていた。

「何それへんなのー」って。うん、自分でも単純すぎてびっくりしてるよ。



新学期、2日目。

さっそく今日から通常校時────いつもなら、げんなりするところだけれど。先生の小難しい説明に、頭がこんがらがって眠くなってくるところだけれど。


篠宮くんが隣にいるってだけで、いつも通りの景色がこんなにも変わるんだって思った。


新鮮、すべてが新しく見える。
いつもならつまらないと思ってしまう先生の話も背筋を伸ばして聞きたくなる。

篠宮くん効果、絶大だ。



……ただ、ひとつだけ難点を挙げるとするならば。



「……っ」




ああ、またやっちゃった。
慌てて顔を前向きに戻す。


そう、無意識に視線が右に流れてしまう。