私の答えに「だろ」って笑って頷いた篠宮くん。
「それと同じだよ」
「えええ……」
同じじゃないよ。
私は篠宮くんに憧れているから、どんな髪型でも格好でも、関係ないって断言できるけれど、篠宮くんは違うじゃん。
だけどそれを説明するには、私がどれだけ篠宮くんに憧れているかを本人に解説する必要がある。そんなこと、さすがにできない。
何を言うべきか、言うまいか、ぐるぐると頭を悩ませる私に篠宮くんは追いうちをかけるように。
「見たい。だめ?」
「うっ」
あざとい……!
きっと確信犯だ。ずるい。
甘えるような口調、そんな声でお願いされて、私が断りきれるわけがないもん。
あっけなく陥落した私は、俯いた顔を上げる前にしっかりと前置きする。
「わ、笑うのはナシだよ……!」
「わかった」
頷いた篠宮くん。
それを確認してから、そうっと顔をあげる。すでに顔を覆っていた手は解除済みだ。
うう、どんな罰ゲームよりきついかもしれない。
あの無様な前髪が晒されていると思うと、恥ずかしさでやっぱり目がうるうるしてくる。



