「昨日もそうだったけど、なんで俺のこと避けてるの」

「……っ」



右手首、ふれる体温、篠宮くんの手のひら。
すこし熱っぽいのは気のせいだろうか。
それとも────。


はー……、とため息の音がする。
呆れられたかな。


そりゃそうだ、意味わかんないよね、きゅうに逃げるような真似をするなんて。こんなの嫌われたって当然だ。



「……久しぶりに会えて嬉しいのも、顔見て話したいって思ってるのも、俺だけ?」

「えっ」



拗ねたような口ぶり。
思いのほか子供っぽい口調に戸惑って、目を見開く。

その隙をつくように、篠宮くんが腕を引いて、私を振り向かせて。くるり、また向き合うかたちになった。



「や……っ」



思わずうつむく。

だって。
だって、見られたくないもん、変だもん。



「……なにが、やなの」



あ、と思う。

篠宮くんの声が、落ち込んでいる。
誰が聞いてもそうわかるほどには、しょぼんとしたトーンだった。

もしかしなくても……、私のせいだ。
やってしまった、と後悔して青ざめる。

慌てて口を開いた。



「ちっ、ちがうの!篠宮くんのことがいやとか、全然そうじゃなくて、ただ……!」