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不格好な前髪は元通りの長さに戻るまで篠宮くんから隠し通すことに決めた。


挙動不審な動きで、篠宮くんからくるくる逃げ回るように、新学期初日を過ごして。


しかし、その努力は、翌日、あっけなくついえることになる。



「18番……どこだろ」



翌朝のホームルーム。
月に1回の席替え、9月の分がさっそく行われることになった。


私たちクラスの席替えは、箱のなかからくじを引いて、その番号に対応する席に机を動かすスタイルだ。


18、18……っと。

番号をとなえながら、黒板に書かれた座席表と見比べて、机を動かす。


ガタン、ガタタンと机を移動させるときに鳴る音は、席替えのときの特有の喧騒だ。

賑やかになる教室に、毎月のことながら少し浮き足立つ。お祭り感があって、この賑やかさは、けっこう好き。



「18……は、ここ?」



よし、移動完了。
しいて言うならばもう少し窓際がよかったけれど、真ん中より少し後ろのこの位置は、じゅうぶん当たり席と言えるだろう。



ふと前の方に目を向ければ、一番前のど真ん中────いわゆる天皇席を引き当てたらしいこもりんが、かなりげんなりとした表情を浮かべているのが見えた。


うんうん、わかるよその気持ち。
1番前、しかも真ん中って、先生の集中攻撃を受けやすいもんね。


ご愁傷さまです、と心の中で手を合わせておく。