「んーんー、これはマジだから。口に出さないだけで、けっこうショック受けてるよねー? 朝陽」
こてんと首を傾げたこもりん。
篠宮くんは何も答えない。私はこもりんのうしろに隠れているから表情も伺えなかったけれど、きっと篠宮くんだって真に受けていないだろう。
こもりんってば、そうやってすぐ好き勝手へんなこと言って篠宮くんをからかうんだから。
それに、ショックを受けているのは、断然私の方だもん。
せっかく新学期、やっとのことで夏休みが開けたのになあ。
こんなんじゃ、篠宮くんの顔も見られない。
あーあ、はやく伸びないかなあ、髪の毛。
何日……? いや何週間で元通りの長さに戻るんだろうか。
かなりばっさり切っちゃったから、しばらくはだめそう。
ひじきを食べたら髪の毛、伸びるんだっけ? ワカメだったっけ。試してみようかな。
「はあ……」
思わずこぼれたユーウツなため息は、教室の喧騒に溶けていった。



